心と体

女性に多いがんのこと(子宮がん・子宮頸がんについて)

こんにちは。NPO法人ちぇぶら更年期トータルケアインストラクターの永田京子です。今回は、女性に多いがん「子宮がん」について一緒に学んでいきましょう!

・子宮体がんとは?
・子宮頸がんとは?
・予防1. 検診について
・予防2. HPVワクチンについて
・男性のがんも要注意
・HPVワクチンの安全性

これらの内容でお送りしていきます。
そうなんです。実は、子宮がんには2種類あります。
「子宮体がん」と「子宮頸がん」です。どちらも子宮にできるがんなんですけれども、それぞれ、発生しやすい年齢や、原因、予防方法が異なります。

今回お伝えする「がん」については、全ての世代において知っていただきたいこと、また男性も他人事ではありませんので、ぜひ最後までご覧くださいね。

子宮体がんについて

まずは、「子宮体がん」についてです。
子宮体がんは、子宮の奥(子宮体部)から発生するがんのことです。ほとんどは、女性ホルモンの影響をうけて、月経をおこす子宮内膜というところから発生するので別名「子宮内膜がん」とも呼ばれています。子宮内膜というのは、月経のたびに剥がれ落ちてくれます。そのため、毎月、月経がある時期には、子宮体がんにはなりにくいです。

注意が必要なのは、月経が不順になってくる40代以降、更年期、更年期以降です。
ここからは、注意が必要です。
子宮体がんは、50代〜60代が発症のピークです。

自覚症状として一番多いのは、不正出血です。初期症状として不正出血や異常なオリモノがあるので、このサインを見逃さないで、婦人科を受診することが大切です。

子宮体がんの検診については、現在、厚生労働省の指針としては定められていませんが、一部の自治体では検診を行っているところもあります。

子宮頸がんについて

続いて、「子宮頸がん」について見ていきましょう。
20代から40代の若い世代が特に気をつけたいのが、この「子宮頸がん」です。
40歳代で発症のピークを迎えます。
毎年およそ1万人の女性が「子宮頸がん」にかかり、およそ2,800人の命を奪っているがんです。

子宮頸がんは、子宮の入り口付近(子宮頸部)から発生します。
原因のほとんどは、ヒトパピローマウイルス (HPV)で、これは性交渉で感染します。
性交渉の経験がある女性の8割が一生に1度は感染すると言われるほどありふれたウィルスです。ほとんどの場合は感染しても自分の免疫によって自然に消えます。

しかし、中には発がん性が強いウィルスがあって、このウィルスに長期間感染したり、また細胞に異常が起きてしまうと、がんが発生してしまうのです。数年から10年かけて悪性化して発症します。

子宮頸がんは、自覚症状はほとんどありません。
なので、検診で早期発見をすることがとっても大切になってきます。

このがんが子宮頸部の表面の浅い部分にとどまっている間に発見すれば、その部分だけを取り除く方法で、ほぼ100%治ります。

しかし、進行すると、子宮を取ることになったり、リンパ節や卵巣という、周りの臓器まで取ることになったりします。なので、何よりも早い段階で見つけることが大切です。

検診にいきましょう!

子宮頸がん検診について

子宮頸がんの検診はとても簡単で、痛みや出血もほとんどないようです。子宮頸部の細胞を専用の器具で擦りとってがん細胞があるかないかを調べます。

今、日本国内の各自治体では、20歳以上の女性に2年に1度、子宮頸がん検診を実施しています。

また、予定外の出血や、濁った織物などの異常がある場合は、他の病気が隠れている可能性もありますので、気になる症状がある場合は、「次の検診にしよう」など、先送りにはせず、すぐに婦人科で診てもらいましょう。

子宮頸がんワクチンについて

子宮頸がんは、最も予防しやすいがんと言われていて、
予防するためのワクチンがあるんです。

HPVワクチンをうつことで、原因であるHPVに感染しないようにして、がんを防ぐ方法があります。

最新の研究では、2020年スウェーデンで国家規模167万人を対象とした調査で、浸潤(しんじゅん)子宮頸がん、つまりは他の組織まで移動してしまうがんが、HPVワクチン摂取によって大幅に減りましたよ、という論文が発表されました。

どれくらい減ったかというと、17歳になる前にワクチンを接種した場合、浸潤(しんじゅん)子宮頸がんになる割合が88%低下。17歳以上30歳までであっても、53%低下と報告されています。

日本では、HPVワクチンは、小学校6年~高校1年相当の女の子を対象に、公費で、つまりは無料でワクチンの接種が提供されています。初めての性交渉前に接種することが望ましいと考えられています。
ただし、このワクチンは、現在BCGのように、自治体から対象者に個別で「予防接種受ける時期ですよ」という通知が届く「積極的勧奨」はされていません。なので、自分で探して申し込むことが必要です。

10歳から14歳までが最も効果的な接種年齢と言われていますが、この年齢でワクチン接種ができなかった場合も、45歳までは、ワクチンの有効性が証明されています。(※5)
なお、ワクチン接種を受けたとしても、定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

男性のがんも要注意

HPVは女性だけの問題ではありません。実は、男性のかかるがんにも関わることがわかっているんです。中咽頭がん(ちゅういんとうがん)、陰茎がん(いんけいがん)、肛門がんなどは、HPVの感染によって起こることがわかってきました。
アメリカの政府機関 FDAでは、45歳までの男性および女性に予防接種を推奨しています。日本でも、2020年12月25日に、HPVワクチンの男性への接種拡大が承認されています。現時点では、摂取費用は全額自費負担となっています。

ワクチンと安全性について

HPVワクチンが筋肉注射です。
厚生労働省の令和2年度のHPVワクチンに関するリーフレットには、
リスクとして「HPVワクチン摂取後には、多くの方に、接種部位の痛みや腫れ、赤みなどが起こることがあります。まれですが、重い症状(アレルギー症状・神経系の症状)が起こることがあります。」と記載されています。

また、HPVワクチン接種後に慢性の痛みや運動機能の障害などが報告されたとして、一時期大きなニュースとして取り上げられていました。果たして、安全なのか?と思われる方も多いのではないでしょうか。ここでは、WHO(世界保健機構)、日本(厚生労働省)、日本 産科 婦人科学会、ぞれぞれの見解をお伝えします。

WHOは、2006年から2017年までに2億7000万回の接種が実施されたこと、世界各国における大規模な調査においても、摂取しなかった人と比べて頻度の高い重篤な症状が起こったということは見つかっておらず、HPVワクチンは極めて安全であるとの見解を改めて発表しています。

日本では、平成29年の厚生労働省の調査で、ワクチン接種後の「多様な症状」について、ワクチンとの因果関係を示す根拠は報告されませんでしたと発表されています。

日本産科婦人科学会のHPでは、科学的見地に立って、子宮頸がんの予防戦略においてHPVワクチンと検診の両者は共に必須である。と明記されています。

ワクチンもそうですが、ワクチンに限らず、どんなことでも、光があれば影もあるものです。メリット・デメリット併せ持っているものですよね。
私たち自身が、よく理解して、もし難しい問題であれば専門家の力をかりながら、納得をした上で選択し、決定ができるといいですよね。

というので、最後に子宮がんから人生を守るためにできることをまとめると、
子宮体がんは、異常があれば受診すること
子宮頸がんは、まずは、正しく知ること。そして、検診とワクチンで予防ができるがんである。
ということです。一度きりの人生も、一生付き合っていく心と体の健康も、正しく知って、自分で主体的に選んでいきましょう。

 

参考元:
(※1)国立研究開発法人国立がん研究センター https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/index.html
(※2)公営社団法人 日本婦人科腫瘍学会 https://jsgo.or.jp/public/taigan.html
(※3)Safety of human papillomavirus vaccines   https://www.who.int/vaccine_safety/committee/topics/hpv/en/
(※4)HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer  https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1917338
(※5) Wheeler CM, et al.  Efficacy, safety, and immunogenicity of the human papillomavirus 16/18 AS04-adjuvanted vaccine in women older than 25 years: 7-year follow-up of the phase 3, double-blind, randomised controlled VIVIANE study